先日、元気に退院していくご夫婦とすれ違いました。
呼吸不全で瀕死の状態で運ばれてきた患者さんです。笑顔で歩いて退院していくなんて、あの時は想像もしませんでした。
「主人は私たちの言うことを全く聞かない人です。延命も望んでいませんし、寿命だと思っています」きっぱり告げる奥さんに、医師も困惑していました。家族の所に居残り、これまでの生活背景や家族関係など、色々と話を聞きました。「今は延命ではなく救命です」患者さんは今、自分の意思で決めることは出来ず、ご家族が後悔のない選択をしてほしいことを伝えると、はっとした表情になりました。
私は9月にICUから救急外来に戻りました。約4年半ぶりの救外は以前と随分変わりましたが、一番はやはり「断らない救急」を掲げていること。救急車の受け入れ台数も格段に増えています。しかしその一方で、患者さん一人一人にかけられる時間は減りました。受け入れることだけに目が行き、その後のケアが行き届かない・・・しっかり患者さんに寄り添えていたか、不安は取れたか、帰宅したけどその後はどうか、家族対応は・・・
救急を離れていた期間、先々でいろいろな看護を学びました。それを経て今、自分の目指していた救急看護が見えてきた気がします。診断、治療にかたよりがちな救急の現場でも、看護師としての役割は変わりません。そして救急で一刻を争う場面において、意思決定を支援することも重要な看護です。煩雑な業務の中でおろそかになりがちな部分ではありますが、患者さんや家族の近くにいるのは看護師である“私”。この想い・思いを忘れずに、家族も含め、寄り添った看護を提供していきたいと思います。
11月に就任した救急医の西先生。一見コワモテですが(笑)何でも相談に乗ってくれる優しくて頼もしい先生です。これからますます忙しい時期になりますが、救急外来一丸となって乗り越えたいと思います。どうぞよろしくお願いします☆
救急外来・ホールディングルーム看護師 松原奈緒子