菊池先生の「ことばシャワー」の軌跡
生きる力がつく授業
著者の菊池省三先生は、小学校教諭
いじめや学級崩壊といった教育現場の問題を
目をそらすことなく、正面から子供たちに向かい合い
言葉を育てることで、心を育て、人間を育てていきます
菊池先生が、6年1組を担任した4月には、
チャイムが鳴ってもおしゃべりし続ける子供たち、
乱暴な言葉がいきかい、
グループに入れない子は無視され続けている
そんな荒れたクラスでした
だけれども、子供たちは、決してよい事とはおもっていなくて
何とか抜け出したいと、もがいていたのです
菊池先生の1年間の言葉の授業は
子供たちの心を開き、笑顔があふれる教室へと変化していきます
この本は、そんな先生とこどもたちとの、実際の記録です
舞台は小学校の教室ですが、
社会人となった私たちにも
コミュニケーションの大切さを教えてくれます
言葉は、時に刃物よりも深く、人のこころを傷つけます
反対に、言葉によって、心が救われることも多くあります
菊池先生は
クラスからなくしたい言葉、増やしたい言葉を
子供たちに問いかけます
言葉は、文字の羅列にほかありませんが
思いがそこにのり、気持ちとなって発せられたとき
心に響くものだとおもいます
著書の中で、谷川俊太郎の「とき」という詩が
授業で使われている章があります
この詩の最後の三行に こうあります
きのうと きょうは よく にているけれど、
おなじでは ない
そして あすは いつでも あたらしい
新しい明日に
希望と勇気をもらえる
そんな1冊です
看護部長 粕谷文子